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Vignette from the Book

本などを紹介しています

不確実性とつながり

今度はつながるということをテーマに書いてみたいと思います。今回の本はマーク・ブキャナン『複雑な世界、単純な法則』です。

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スモールワールド

「スモールワールド現象」、「6次の隔たり」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?簡単にいうと、6人の知人を介せば、我々は全世界の人間とつながることができるということ。心理学者のスタンリー・ミルグラムが実験によって示したこの現象は、のちに数学者のダンカン・ワッツとスティーブン・ストロガッツによって、科学的研究対象の一部になりました。このような領域は非線形領域の研究内容の一部であり、複雑性の科学、ネットワーク科学と呼ばれていたりします。重要なのは、そのような学問の登場により、何の秩序がないところに実は秩序があるということが見えてきたということであり、この本の主題です。

不確実性というテーマ

不確実性というのは、よく耳にするが何を表しているのかよくわからないという感覚がある言葉の一つかと思います。 不確実性を考える上でヒントになるかもしれないのが、本書で紹介されたいた、古生物学者のスティーブン・ジェイ・グールドの話です。『ワンダフル・ライフ』でが歴史の核心にあるのは偶発性だということを強調しています。グールドは進化を論じる生物学が決定論的であることに違和感を感じて、偶然性というのを強調した言えるのではないかと思います。グールドは生物の進化がランダムに起こっていると言っているのではありません。偶然性というのが秩序を形成する上で重要であり、偶発性があるからこそ、現在の秩序が生まれているのではないかという想定ができるということです。そのように考えると、不確実性は秩序を生むためには、避けて通れない事象です。この本ではそのような偶発性と秩序の結びつきを示す事例が幾つも示されています。

弱い紐帯の強さ

特に興味をそそられるのは社会的なつながりに関する部分です。社会学者のマーク・グラノヴェッターはコミュニティの中に見られる弱いつながりを強調した社会学者です。グラノヴェッターの主張は弱いつながりは、強いつながりで形成されたコミュニティ同士の橋渡しをする役割があるということです。強いつながりだけを持つコミュニティは確かな規則を持って運営されている一方で、自律性を欠く場合があります。そのような状態に陥らないようにするためにも弱いつながりを持っておくということは大事だと言えますね。このような意味で不確実性と秩序というのを捉えることもできるのです。

理解におけるつながり

前回のテーマに絡めて、理解という意味でのつながりについて、考えてみます。 前回の記事では、理解とは一方的な伝達というよりは「創発」なのではないか、ということを書きました。これはある意味では、複雑さの中の秩序なのではないかなと思うんです。 これはちょっと、スモールワールドっぽいですね。複雑な内容を伝えようとする時、必ず伝えたい人に1対1でアクセスするというか、その人の知のネットワークにつながることによって、自分のネットワーク絡め、二つのネットワークを一つにしていくという過程が起こっているのではないかと思うんです。 ここから考えると、自分の知のネットワークの「弱さ」の部分が外の知と繋がって、創発を起こしている。そう考えると、自分の中でそのようなネットワークのハブと成っているのはどういうヤツなんだろうかと考えると面白いです。