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本などを紹介しています

中範囲の理論 野中郁次郎『経営管理』

前の文章では雑多に色々書きましたが、 これからはなるべくポイントは絞って書いていきたいと思います。

今日は理論と実践ということについて、 私の中でずっと残ってきたことについてお話します。

経営学に関心がある方はご存知かと思いますが、 野中郁次郎さんという、日本を代表する経営学者がいます。 たぶんこのブログでは何度も触れることになるのではないかと思います。 野中さんは知識経営の生みの親として世界的に評価されており、 知識の創造・共有・活用をテーマの一つとされています。 私は野中さんの示す内容に影響を受け、また、その方向性に強く共感しています。

野中さんの本の面白さは、哲学や社会学の領域触れながらも、 組織論という理論化ししまいます。にくいけれど、実践的な非常に重要な部分を対象にしていることだと思います。 私が野中さんの本に触れたのは相当前に日経文庫の『経営管理』という本を読んだ時です。 その後、有名な『失敗の本質』を読み、『知識経営のすすめ』を読んだ段階で 野中郁次郎という人を意識するようになりました。

ここからが本題です。 野中さんが対象としている主な領域は経営学の中では組織論というカテゴリに入ります。 先ほど触れた『経営管理』という本は組織論についての解説になっています。 ここで私のなかで残っていた考え方にコンティンジェント・セオリー、 中範囲の理論というものがあります。

コンティンジェント・セオリーというのはあらゆる状況に対応するということは不可能であるとして、 普遍的な立場を避け、組織における関係性、相互作用に目を向けるという感じでしょうか。 このような見方から、理論を実践に近づけていくためには、一般化の度合いの強いレベルと、 個別のレベルのあいだの中範囲の理論を作る必要があるという主張が生まれます。 関連して、理論づくりは「コンセプトとコンセプトの間を関係づけること」、 という言葉もも何度となく考えさせられた言葉でした。

野中さんはカルフォルニア大学バークレイに代表される、比較的理論重視の立場で学び、一方で、ハーバードの経営大学院の事例ベースの立場を知り、バランスを取っていくほうが良いという判断をしています。 私としても、日々の仕事の中でも、個別にアプローチしても、長期的にそれでいいのかと悩むことが多く、 そうやって悩んでいくと、行政や広い意味での日本のビジネス状況もそういった部分が多いように見えてしまいます。 我々に足りないのは個別の事例だけではなく、少し普遍的な所から個別の領域をみることによって、 我々の存在自体を見直すような、長期的な意思決定につなげるような活動ではないでしょうか。